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【古民家再生日記 着工12日目】さようなら、綿壁

着工12日目。古民家は引き続きで「補強」作業が続きます。「解体」と比べるとやはり「補強」は専門性が求められるので、私は作業にはあまり参加できず。本日も「左官」チームに合流しました。

本日は2階の壁の「解体」です。ただし「解体」といってもほとんどの壁は崩し終えているので、今後のリノベーションで “残す” 壁の補修作業です。というのもこの物件、ほとんどが「土壁」なのですが、ところどころで「綿壁」という手法が使われています。

この「綿壁」、主に「土壁」の補修に多く使われる手法で、粒子の細かい土にのりと金色銀色の繊維を混ぜた素材を「土壁」に上塗りしたもので、見た目が美しく、吸音性や断熱 … 無垢材は自然素材の持つ優れた質感や保湿·調湿·吸音性があり、年月の経過とともに素材の味わいを楽しむこともできるという代物なのです。今ではあまり見ることのできない「綿壁」。私も古民家リノベーションでこの「綿壁」を残したいと思っていたのですが…

この古民家の「綿壁」はあまりにも劣化が激しすぎました。田舎の古い家などで壁がボロボロと剥がれ落ちるのをよく見るかと思いますが、それを通り越して下地が見えてしまっていました(泣) 「綿壁」はメンテナンスが難しいようで、その美しさを維持するには相当の努力が必要なようです。

なので今回のリノベーションでは「綿壁」を再利用することは諦めました。

思えば、今回のリノベーションは古い木材や素材はなるべくそのままで使用したい、という要望を工務店にお願いしていたのですが、いざ工事が始まって見ると建物の劣化が激しく、支柱や梁などはほとんどを新しいものに交換してしまっているのが実情です。「土壁」や「綿壁」も同じく。もちろん、「大工」さんも最大限の努力をして古い木材も再利用しながら、古民家の味わいを残してくれてはいるのですが、改めて古民家をリノベーションすることの難しさを思い知りました。

余談ではあるのですが、この古民家は十年ほどの空家期間がありました。建物は人が住まなくなると劣化の速度が早まるようで、「この十年の空家期間がなければ、もっと状態が良くリフォームできた」という言葉を聞くとやるせない気持ちになります。

兵庫県内の空家は2020年現在で36万戸と言われています。そのほとんどはきっと昭和・平成を生き抜いた大事な建物だったはずです。それらの建物が再生可能なうちに壊されることなく令和の人々に引き継がれてほしい、と強く願うばかりです。

話を元に戻しましょう。この「綿壁」、今回のリノベーションでは思い切って壁から剥がすことになったのですが、大活躍だったのが「左官」屋さんでした。壁のことなら何でもお任せ。頼りになる男です。

「左官」屋さんが用意していたのは剥離剤。壁にぎっしり敷き詰められた「綿壁」に剥離剤を左官鏝で丁寧になじませていきます。すると…

あれほど強固にのりで接着されていたはずの「綿壁」を驚くほど簡単に剥がすことができました。この作業、まるで豆腐を崩しているような感覚でこの三週間で一番、気持ちよかったです。

「綿壁」を剥がしてしまうと、ただの「壁」になってしましました。これからこの「壁」がどう生まれ変わるのか楽しみです。

「補強」作業も相変わらず順調。一階の支柱はついに「羽子板付沓石」で固定されていました。しかも「左官」屋さんがコンクリートで固めてくれています。

古民家の改装は確実に前に進んでいます。