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【古民家再生日記 着工30日目】「大工」という仕事②

着工30日目。本日は土曜日。週6日勤務にもだんだんと慣れて来ました。身体的には疲労を感じていますが、「大工」という仕事は楽しめているので、土曜日も「働く」という現実に対しては精神的にすんなり受け入れている、と感じています。

本日は現場に合流したのは「大工」チームのみ。ここから数日間は「大工」チームのみの作業が続きます。「大工」さんがある程度、「造作」を仕上げてから今後に別班が合流してくる予定です。

ところで私は「大工」チーム、と呼んでいるのですが、チームといっても人数は決して多くはなく、大体は2〜3名で作業されています。よく大手工務店が入っている新築物件やマンションなどでは大人数の「大工」さんが作業されている姿を見ますが、リノベーション工事などで大人数の「大工」さんが作業するということは現実的にはありえないようです。

おそらく、「大工」さんの人数をもっと増やせば、作業効率も作業速度も飛躍的に向上すると思います。実際にこの現場でも「1人で作業した日」と「3人で作業した日」では1日の進捗は圧倒的に違いますから。しかし、現実的に「大工」さんを増員する、ということは容易ではありません。

理由は「大工」さんの高齢化と人材不足です。

現場に入っていて思ったのですが、今回のリノベーションで現場に作業に来られた方で20〜30台の「若い」人材はほとんど見たことがありません。大体が40歳以上で最高齢は80歳です(笑) この現場を管理されている工務店の方は60台後半。「大工」さんは40台後半です。40歳を越えると一般企業では中堅からベテラン、といった立ち位置が普通ですが、40台後半の「大工」さんはまだまだ若手という認識らしいです。それだけ技術の習得に時間が必要な業種ということは理解できるのですが、問題は20〜30台の「若い」人材が育っていないと言うことらしいです。

「大工」さん曰く、「若い」人材は大手ハウスメーカーに就職されることが多いようです。でも彼らの多くは「大工」というには程遠く、「作業員」に近い、という認識のようで、本当の意味での「大工」は育たないのではないか?という危惧を抱かれています。

大手工務店が入っている新築物件やマンションの建築などでは、作業の難易度は高くないので、本当の意味での「大工」さんが作業しなくても丈夫で安心な建物が建ちますが、今回のような崩壊寸前の建物をリノベーションするのは熟練の「大工」さんが必要です。そういった熟練の「大工」さんは大手工務店に勤務しているのではなく、いわゆる町大工です。会社として規模も資本もきっと大きくありません。正直にいって教育制度も整っているとは言えないと思います。昔ながらの「仕事は見て覚えろ」というスタイルです(笑)

そうなると「若い」人材の確保はますます難しくなるでしょう。私は前職で求人採用にも関わっていたので、人材確保の難しさを理解しているつもりです。日本は今、人口総数が減少しています。2055年には日本の人口総数は1億人を切ると言われています。高齢化も進むでしょう。その中で若くて優秀な人材を探して確保することは企業にとって容易ではありません。

本当に優秀な人材を確保したいなら、企業が変わらなければなりません。昭和式・平成式の求人採用では企業は衰退するだけです。「企業が人を選ぶ」時代から「人が企業を選ぶ」時代がきっとやって来ます。そうなる前に、会社の「価値(それは働きやすさや給与、教育・評価制度なのですが)」をわかりやすく「若い」人材に訴求しなければ人材は確保できません。それは大手企業だけではなく、町大工規模の会社でも同じです。

この「大工」という職業はおそらく永遠になくならないと思っているのですが、それを継承する人がいないのは業界にとってよくありません。伝統工芸などでよく見るのですが、世の中に需要があるのに後継がおらず、会社を海外に売却したり(結果、品質が落ちる)、不当に価格上昇する(結果、衰退する)などして、業界が消滅・縮小したケースはよくある話です。

私がこの「大工」という仕事に関われるのは、あと1ヶ月を残すのみです。過酷な仕事ですが、やりがいを感じています。身体が2つあれば、このまま「大工」という仕事を続けたいのですが、そうはいきません(笑)

私には何もできませんが、この職業が衰退することなく、後世にしっかりと継承されることを祈っています。微力ではありますが、このブログ(古民家再生日記)ではこの仕事の「魅力」を少しでも訴求できればと思っています(笑)

講釈が長くなってしまいましたのですが、少しだけ現場の話を。

古民家の床板が1階・2階共にほぼ貼り終えました。歩けば軋んで、強く踏めば床が抜けそうなボロボロの薄い床板が、1試合15分くらいのプロレスなら耐えしのげそうな強靭な床に生まれ変わりました。水平レベルもバッチリ。

こういう仕事を目の当たりにする度に、この現場に参加しているのは「作業員」ではなく、本当の「大工」だということを思い出させてくれます。