1. HOME
  2. ブログ
  3. 【古民家再生日記 着工40日目】古民家に響きわたる懐メロ…

【古民家再生日記 着工40日目】古民家に響きわたる懐メロ…

着工40日目。心配された台風10号は予想された進路を逸れて、近畿圏を直撃する可能性は低くなったようです。その影響もあってか、本日の天気予報は雨だったのですが、目が覚めた時は晴天。午後からまた通り雨がありそう、とのことですがとりあえずは一安心です。

本日は「大工」チームに加えて「左官」チームが現場に合流。先日に完了しなかった壁面のラス貼り作業の続きを行います。

天気予報は雨の予想だったので、本日は「左官」屋さんは現場に合流予定ではなかったのですが、今日は雨が降らなさそうと判断して急遽で現場に来ていただきました。作業をしながら「左官」屋さんに「雨が降ったら帰るからな」と冗談交じりで言われたのですが、午後からの予報は雨です。午前中にどれだけ作業を進められるかが鍵になります。

「大工」チームは引き続きで「造作」作業。各部屋ともかなり仕上がって来ています。

「左官」屋さんがBluetoothで音楽を流しながら作業される、というのは以前にこのブログで紹介させていただいたのですが、今日は別の(不定期で現場に参加される)「大工」さんもBluetoothで音楽を流しながら作業をしていました。

「左官」屋さんは南側で作業、「大工」さんは北側で作業されています。それぞれ違うスピーカーで音楽が流れます。私は「左官」チームなのでほぼ南側で作業していたので、「左官」屋さんチョイスの最新ヒット曲を聴きながら作業していました。作業の流れで北側の「大工」さんの作業している箇所にも頻繁に出入りはしたのですが、こちらは1990年代にヒットしていた懐メロがずっと流れていました。GLAYやMr,Children、サザンオールスターズ、広瀬香美など今の若い人が聴いたことの無いような渋いプレイリストです(笑)

北側と南側。音楽が変わるだけでまるで異世界。最新ヒット曲が流れる南側はお洒落な美容室という感じ。一方の南側は街の床屋の雰囲気でした(笑)

どちらの音楽もそれぞれで魅力はあるのですが、どちらが気になるかと言うと私は懐メロの方に自然と意識が集中してしまいました。懐メロもよく聴いていると「懐かしいから良いと思える曲」と「良い曲」の2種類に分類されます。「懐かしいから良いと思える曲」は当時の思い出とセットで良いと思える曲なので、この現代の人が聴いたとしても心に響きそうに無い曲です。時代に合わせて作っている曲なので作り手も2020年に懐メロとして誰かが聴いているなんて状況は想定してなかったと思います。ただの流行歌です。一方の「良い曲」は今、聴いても格好良い曲です。時代に全く左右されていない誰にも媚びていない曲です。その代償として1990年代にその曲が流行していたという記憶はありませんが(笑)

Mr,Children、サザンオールスターズの懐メロはきっと「良い曲」に分類されるのだと思います。1990年代と比べると彼らはスタイルも活動方法も大きく形式を変えましたが、30年を経過しても未だに多くの人々に「認知されている」と「良い曲」を制作し続けていると思います。

現代のヒットメーカー、サカナクションの山口一郎が面白いことを言っていて「本当のポップスっていうのは、5年後に評価されるもの」と言うことを雑誌『Rockin’on』のインタビューで答えていました。全くその通りだと思います。最近は音楽番組などはあまり見ないのですが、CDに握手券をつけて無理やり歌手に付加価値をつけたり、デビューして1年も経っていない歌手がベストアルバムを発売する現代音楽シーンの風潮はあまり好感を持てるはずがありません。10年後にそのCD(音楽)は絶対に聴かないと思います。

村上春樹「ノルウェイの森」の中で永沢さんが言っていた「現代文学を信用しないというわけじゃない。ただ俺は時の洗礼を受けていないものを読んで貴重な時間を無駄にしたくないんだ。人生は短い」と言う言葉を思い出します。

余談が長くなりすぎました、話を現場に戻しましょう。この現場、特に「解体」の際に「大工」さんの口からよく聞いた言葉なのですが「良い仕事しているわ」と頻繁におっしゃっていました。これは「大工」さんにとって過去の職人さんへの尊敬の念を込めた言葉らしいです。この古民家が建築されたのがおそらく70年前。古の「大工」さんの技術が時の洗礼を受けて、現代つまりは2020年の「大工」さんに響いています。

(建築中に建物に対してこんな事を言うのは失礼ですが) この古民家もいつかは劣化し、その役目を果たせなくなる日はきっと来ます。その時は私以外の誰かがこの建物を「解体」するでしょう。その時に未来の「大工」さんもきっと「良い仕事しているわ」と口にして欲しいものです(笑) いや、きっと口にすると思います。実際、我々はかなり「良い仕事」をしていると思います。十分すぎるほどの時の洗礼を受けたとしても未来の「大工」さんに響くと思います。

そう言えば今日は午後から雨が降りませんでした。「左官」屋さんも終業ギリギリまで作業したのでラス貼り作業は全体の80%以上は完了しました。明日は本格的に雨が降りそうなので「左官」屋さんが合流する予定はありません。風も強くなりそうなので、「足場」のシートを外してから業務終了。

ブルーシートを外すと、心地よい風が古民家を通り抜けます。風に乗ってサウンドスピーカーから流れる「左官」屋さんチョイスの最新ヒット曲がよく聴こえます。これらのヒット曲、5年後にどのくらいの人に響くかはわかりませんが(笑)

「5年後の未来人の人たちに対して、今の自分のやっていることは誇れるか?」これは人生においてかなり重要な要素です。平の茶房も時の洗礼を受けて、初めて価値があると思える店舗にしたいと考えています。「ヒット」や過度な「認知」は必要ありませんが、「続ける」事と「流されない」事には徹底的に拘ることを懐メロを聴きながら誓うのでした。