【古民家再生日記 着工69日目】リノベーションの終わり…
着工69日目。2020年10月7日。本日でこのリノベーション工事は完了します。7月13日から始まったこの工事も3ヶ月が過ぎ、遂にこの日を迎えることが出来ました。幾多の困難がありましたが、こうして無事に建物の改修が終わったこと、そして微力ではありますが、崩壊寸前だった古民家の再生にチームの一員として関われたことを誇りに思います。
写真は着工から今日まで私が履いていた靴です。この現場に加わる前に購入した靴なのですが、3ヶ月間の過酷な作業を経て、靴の形状を保っているのがやっとなくらいボロボロです。何度も釘を踏み抜いたので底面は穴だらけです(笑) この現場では私はこの靴以外は履いたことがありません。現場が始まって1ヶ月くらいで、もうボロボロだったのですが、新しい靴などに買い替えたりせず、この靴で最後までやりきろうと思っていました。この3ヶ月間で私が歩いた歩数は1日平均で13,870歩です。会社員時代は1日平均で7,000歩くらいだったので、倍近くは歩いた計算になります。しかも炎天下の中での重い荷物を運んでの歩数なので会社員時代のそれとは比べ物にはなりません(笑) きっと靴への負担もかなり大きかったに違いありません。
しかし、この靴とも今日でお別れです。現場が終われば、さすがにもう普段使いは出来ませんから(笑) その一歩一歩を踏みしめながらの最後の出勤です。
…と言っても今日は私は作業着こそ着用していますが、「大工」としてはお休みをいただいています。「施工主」として引越し準備をしつつつ、何かあれば現場作業を手伝う体制での出勤です。
本日は「左官」「美装」「電気」の3チームが最後の現場合流です。と言っても作業自体はそれほどは多くなく…
「左官」屋さんは裏庭の土間打ち。私が炎天下の中で草むしりをしたあの日から思えば、「遂にここまで来たか」と言う感慨が強くなります。気味の悪かった草だらけの裏庭がここまで綺麗になりました。この後は私がDIYをしてウッドデッキを製作して、この裏庭はめでたく完成です。ウッドデッキ「大工」さんに製作をお願いしても良かったのですが、少しだけ「宿題」を残しておきました。私も「大工」の端くれとして現場に参加したので、この3ヶ月で「何ができるようになったか?」をテストしてみたくなったので、外注を控えました。引越しや店舗準備が終われば本格的にDIYをスタートしようと思います。
「左官」屋さんは午前中には作業終了。初めてこの現場に合流した日から今、この瞬間まで「左官」屋さんとはかなりの時間を一緒に働かせていただきました。お役に立てない時間もありましたが、こうして最後までご一緒できたことを光栄に思います。彼らの大きすぎる貢献には感謝しかありません。そして、彼らから学ぶべき事がとても多い方たちでした。
「美装」屋さんは初めての現場合流です。建物全体を丁寧に清掃していただきます。私も先週と今週で建物全体を清掃していたので、「作業が楽だった」とのお褒めの言葉をいただいたのですが、私のそれとは全く異なり「美装」屋さんの清掃の方が当たり前ですが「仕上がり」が美しかったです。感謝。
「美装」屋さんの作業が終われば、物件のリノベーション工事が終了……といきたかったのですが、「電気」屋さんが少しだけ作業を残していたので、作業完了はもう数時間だけ先延ばし。このリノベーション工事の「真打」は「電気」屋さんに引き継がれました(笑)…と言っても「電気」屋さんもそれほど作業は多くなく、換気扇と煙検知器を設置すれば作業は完了です。
夕方18時。全てのリノベーション工事を終えました。「電気」屋さんの工具をトラックに積み終えて、「電気」屋さんが帰宅するのを見送り終えた時、完全に暗くなった夜空からは雨が降っていました。そう言えば、7月13日、着工初日も雨が降っていました。今となっては遠い昔のことのように感じます。
職人さんたちが帰って行って、ガラリとした建物内に一人で佇んでいると、少しの喪失感を感じました。私の「大工」としての時間はこれで終わり。また数日後からは違う日常が訪れます。
そしてガラリとした建物を眺めていると、「すごいことをやり遂げた」という充実感も感じます。何しろ崩壊寸前で何年も買い手がつかなかった古民家です。それを「甦させよう」なんて誰もやりたがらないですから(笑)
少しではありますが、リノベーションした建物の写真を紹介させてください。
私たちは建物の全てを気に入っています。「この箇所はあまり好きじゃない」と言う箇所は1つもありません。全てはこの建物のリノベーションに関わっていただいたスタッフの皆様のおかげです。私たちはこの物件を住居として住むことを光栄に思いますし、この物件を店舗として営みをすることの責任を感じています。ここまで素晴らしい建物を建てて頂いた以上は、私たちはこの建物で理想の生活を実現する「義務」があると感じています。
またスタッフの一員として、この現場に参加させて頂いたことを改めて感謝を申し上げます。完全な素人の「施工主」が現場に入ることで、やりにくい事や効率を悪くしてしまった事は多々、あったと思います。それでも嫌な顔を一つせず、私に丁寧に仕事をご教授いただけました。この3ヶ月間の全ての日々の出来事が、私の心の中とブログに、そしてこの建物に確かに刻まれています。ずっと忘れることのない日々です。私の今後の人生でも大きな影響を与えるであろう3ヶ月間でした。感謝しかありません。
最後にもう一つだけ。『古民家再生日記』としてはこれで最後のブログ更新となります。長々と69日間の私の感じたことを駄文として書き留めました。お見苦しいところも多々あったかと思いますが、最後までお付き合いいただきました読者の方にも感謝を申し上げます。ありがとうございました。
この建物のリノベーションに関わっていただいた全ての皆様に感謝と敬意を。