店舗前私道の舗装工事完了のお知らせ
2023年2月6日から11日まで当店は臨時休業とさせていただいたのですが、その間で下祇園町18、つまりは店舗前の私道の舗装工事をさせていただきました。
この私道は改装前は土の道で雨が降ると水たまりができてしまい通行が困難になることもあり、私たちも近隣住民の方々も苦心しておられました。
私たちが下祇園に引越しをするかなり以前にもこの私道を改装しようという試みがあったようですが、この道は公道ではなく私道であるため、それぞれの私道、強いては土地の所有者様の承諾がないと、実現ができません。
私道を舗装するメリットやデメリット、誰がその責任者になるのか、資金の調達など、数多の問題を解決できずに、当時のそのプロジェクトは頓挫したようです。遠い昔の話。
2020年に私たちがここ下祇園町に引越しをしてきてからも引き続きで、近隣住民の方々から「私道を舗装したい」という要望を聞いていたので、私たちがその窓口としての責務を担うことになったのが2021年夏のことです。
あれから2年も経過したことを思うと、恐ろしく長い時間を費やしていたことを実感します。
私道舗装することに対して「(土地の所有者様)全員から承諾をもらう」・・・簡単なことのように聞こえますが、その作業が実は一番に困難なのです。
先人たちがこの私道の舗装をすんなり諦めたのも今なら理解を示せます。
「(私道に面した)空き家の所有者にはどうやって連絡・許可を取るのか?」「費用は誰が負担するのか?」「土地の境界線は?」
もし私の周りに「私道を舗装したい」という方がいらっしゃたら、間違いなく「やめといた方が良い。困難が多すぎる」と私は諭すでしょう(笑)
このプロジェクトは関わる人が多いので、その分だけ問題も多くなります。
私たちがそれらの問題を解決できたのは単純に「運」が良かったのだと思います。
最もで困難を極めた問題が私道に面した空き家の所有者様の調査でしたが、有識者や地域の方々、行政担当者様の助言もあり、最終的には全員を探し当て、私道の舗装工事に承諾をいただけました。
調査自体は難儀なミッションではありましたが、調査の過程で近隣住民様や有識者へのヒアリングで聞いた平野エリアの歴史や昔話はなかなかに興味深いものでした。
そして、その過程で獲得した良い「ご縁」にも感謝しなければいけません。
こうやってプロジェクトを成し遂げた後だから、笑って話せるのかもしれませんが、空き家の所有者様を探している時間は「ロールプレイングゲーム」に参加しているような感覚でした。
だから最後に空き家の所有者様に直接でお会いしてお話しした際は、かなりの高揚を覚えました(笑)
「2年間も探し続けた人」なんて過去を遡っても私の人生の中で誰も思い当たりませんから。
「費用」に関しては神戸市の私道舗装助成制度を申請しました。もちろん、舗装費用の全額を神戸市に補助していただくことはできませんので、補助金額適用外の残りの費用は全額を私たちで負担させていただきました。
「費用」は私道に面した土地の所有者様全員が面積ごとに負担費用を計算して支払う、が一般的なようですが、空き家が3件も存在する(しかも長らく放置された)私道で「費用」を空き家の所有者様に請求してしまったら、このプロジェクトに賛同するなんてことはあり得ないからです。
また同意した人間だけで「費用」を分割負担するというのも公平性を欠きます。
色々と検討を重ねた結果、今回のプロジェクトで最もメリットが大きいであろう私たちがその「費用」を負担するのが合理的だと判断しました。
そして「費用」は昨今のコロナ禍の影響で私たちが得た「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」から支払わせていただきました。
この「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」に関しては、当店も緊急事態宣言時の臨時休業時に申請をさせていただきました。
私たちのような開店して数年しか経過していない小規模な店舗が、このような協力金を頂戴することに抵抗がありましたが、この協力金を社会や地域に還元できるようにしようと心に決めて、恥ずかしながら「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を受け取りました。
世の中にはもっと苦しんでいる人たちがいるのに私たちが「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を受け取ることに、ずっと心苦しく思っておりました。
また店舗に来店されて、私たちのような小規模店が「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を受け取ることに苦言を呈す近隣のお客様もいらっしゃいました。
お客様に悪気はなくても「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」に関する質問や会話は、私たちにとっては申し訳なさがどうしても残る事案でした。
「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を社会や地域に還元できる機会をずっと探していたタイミングでこの私道舗装のプロジェクトは動き始めました。
私道舗装のプロジェクトに関する費用を私たちが負担することで「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」を得たことの心残りを払拭する、ということではありませんが、舗装完了後の私道を見て、近隣住民の方々に「良くなったね」「ありがとう」っと言っていただくと、少しだけ心が軽くなった、というのが私たちの本音です。
このプロジェクトを完了するまで、2年もの時間を費やしてしまいましたが、私道舗装を通じて、地域やエリアの課題が少しでも解決できたのなら、私たちは誇らしく思います。
またこのプロジェクトにご賛同・了承いただけました近隣住民の方々、ご協力・助言いただけました有識者の方々、神戸市建設局や行政担当の方々、そして今回の私道舗装を施工していただいた松下工務店様・・・など、このプロジェクトに関わっていただいた全ての皆様に感謝を申し上げます。
ありがとうございました。